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実は アタシはこのフロイト最晩年の著作---むしろ遺作というか 遺書に近い感じだ---を 学生時代に古いフロイト著作集(人文書院)で読んでいた(1980年頃) しかし 当時は西洋美術史に鼻のアタマを突っ込んだばかりで 旧約聖書に関する知識がほとんどなかったので(って 今もたいしてないけどね・笑) この面白さがサッパリ理解できなかった フロイトの説によれば モーセは古代エジプト第18王朝の時に アマルナ宗教改革として知られる信仰の変革---ソレまでのアメン信仰を放棄しアテンを唯一神とする信仰=一神教---を推し進めたファラオ・アメンホテプ4世の近くにいたエジプト人であったとする 確かにモーセという名前はエジプト人の名前らしいし 旧約・出エジプト記の記述する時代には近似している様だ アメンホテプ4世亡き後 兄弟で共同統治をしていたらしいスメンカーラーもすぐに亡くなり 2010年のDNA鑑定でアメンホテプ4世の息子であると分かったトゥトアンクアテン(唯一神アテンの生ける似姿)が9歳でファラオになった しかし彼は(というか彼を支え その死後にファラオになった宰相のアイ)は一神教であるアテン信仰を放棄し元のアメン信仰を復活させた ファラオは名前も文字通り「アメン神の生きる似姿」(ツタンカーメン)に変えた が彼は18歳(くらい)で亡くなり 有名な黄金のマスクを残すコトになった 余談ですが 松岡正剛氏は「千夜千冊」で アメンホテプ4世の死後 第18王朝は破滅した と書いているが 実際は若くして亡くなったツタンカーメンの王位を高齢の宰相アイが継ぎ、4年程で亡くなった後は 官僚で武将のホルエムヘブがファラオになった 彼も高齢であったが30年の治世で官僚制度を再構築した しかし嗣子がいなかったので宰相のラムセスが王位を継承する 第18王朝はホルエムヘブで終わり ラムセス1世から第19王朝になるのである 唯一神としてのアテン信仰が消滅に向かう中 エジプト人モーセはエジプトの地で奴隷労働をさせられていた集団を率いてエジプトを脱出する つまり その後のユダヤ教はエジプト起源のアトン神であったとフロイトはいうのである そしてモーセが率いた集団こそが ユダヤ民族になる しかし 凶暴で怒りっぽいモーセは自らが率いる民に殺害され そして もう一人のモーセが現れる アラブ人に近いミディアン人の神官の息子だった謎の人物が新たにモーセと擬され ミディアン人の信仰する火の神ヤハウェが信仰の対象になったという※ ※この神は、夜中にうろつきまわり太陽の光を嫌う、不気味な血に飢えた悪魔なのだ。本書 p.61 しかし このヤハウェに元来は太陽神であったアテンの唯一神としての---一神教的な絶対の真理としての存在が上書きされていったのだという さらにフロイトは エジプトにいた虜囚の異民族ではなく モーセ自身の取り巻きであった部族が祭司階級となるレビ人であったという そして 何よりもエジプト人モーセがエジプトからそのまま持ち込んだ習慣が割礼であるという※ ※イスラム教徒も割礼するのでは? ユダヤ人であるフロイトがナチス政権に追われてオーストリアを離れイギリスに移住した後 この本は遺書の様に完成される さて このフロイトの説は妄想なのか 実は ちくま学芸文庫の解説は精神分析的なことに終始し この旧約聖書のフロイト独自の解釈には全く触れていない というか エスにさして興味のない読者には退屈なダケだろう(笑) エディプス・コンプレックス 父親殺しとそのトラウマの共有 トーテムとタブー とか まぁ読んでる分には面白いけど ある種の妄想とも言える(笑) 世間には 精神分析全般 超自我 エス(ラテン語ではイド)など フロイトの諸説を妄想とする研究者がいっぱいいる というか アタシも お話としては 面白いとは思うけど・・・(笑) ただし フロイトが新たに意味を見出した無意識というものが 20世紀の哲学・文学・芸術に与えた浩瀚な影響は誰も否定できないだろうね 旧約聖書の解釈としては抜群に面白い読み物でありますが いずれにしても エス・超自我・トーテムとタブー・エディプスコンプレックスの講釈をガマンして読む必要があります(笑) 慌てて 加藤隆さんの『旧約聖書の誕生』(筑摩書房)を読み始めました(笑)
by duchampped
| 2012-10-25 11:58
| 逍遙的読書
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