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東京オリンピックの前年 1963年(昭和38年)に書かれた本である この本で著者は翌年のピュリッツアー賞を受けている 出版から50年近く経つが 内容は全く古びていない むしろ 現在でもアメリカを視る際の強力な引き出しの一つになるだろう 表紙はレッドパージで有名なジョゼフ・マッカーシーの写真である 極めて例外的な場合を除き マッカーシーは「自分をバカにする気にくわないインテリ」を「アカ」と決めつけて世間から排除したかったのだ 反知性主義の輝く星(笑) あるいは レッドネックと蔑称される様な南部の白人たちをイメージしても良いのかもしれない それは イージーライダーという1969年の映画で ヒッピーたちをライフルで撃ち殺す農民の姿であり 典型的な保守的プロテスタントのイメージである 狭量で保守的で独善的という意味の 元々は南北戦争の時に 北側はヤンキー 南側はレッドネックとお互いに蔑んで呼び合ったのだが このレッドネックは むしろ 反知性主義的な南部のプロテスタント層を呼ぶのである 例えば 公立学校で進化論を教えるコトに反対する様な人々(笑) アタシの大好きなイギリス映画に『The American Way』(1986)というのがある デニス・ホッパーが大活躍する超フザケた映画で 簡単に言うと 偽善的なテレビ伝道師がバイブルベルトのプロテスタントたちから金を巻き上げる手口や 保守層(カウボーイ!)から人気の大統領候補者が実は女装した右翼だったという話で 内容はイージーライダーをもう少しハチャメチャにした感じで とてもじゃないがイギリスじゃないと作れない種類のアメリカ的(プロテスタント的)反知性主義をコケにした作品なのである まぁ アメリカ人にモンティーパイソンは作れないからね(笑) 著者は そもそもアメリカに逃れてきたイギリス人プロテスタントたちのマインドに反知性主義的なものがあったとしている そりゃ ヨーロッパ的な文化や歴史に対する反感はベースにあっただろう さらに東海岸に定住した比較的知的な階層と 原住民を殺戮しながら西へ向かった階層とに分けられる 後者は 正にアメリカン・マッチョである つまり実用的で保守的で無教養で粗雑 そこを貧しい巡回牧師が訪れ 教会も長々しい説教もない 簡素な祈りと霊的な覚醒を広める ここからが複雑怪奇なアメリカのプロテスタント教会の数々が分岐し発展し ワケのわからない信仰関係が交錯する 正に 18世紀の信仰復活論者が反知性主義の先鞭となるのである 今なおレッドネックのイメージを担う保守的なプロテスタント層だ 聖書は一文字たりとも間違っていない だから初期キリスト教成立や聖書の成立を研究する神学者たちは地獄に堕ちろ というワケである(笑) さらにアメリカ的なビジネス偏重の志向が反知性主義に追い風を与えた 本を読むヒマがあったら 額に汗しろ というワケだ(笑) しかし 徐々に 大学出身の専門職がビジネスや政治を牛耳る様になっていく つまり 政治もビジネスも複雑化してゆくのである そこには教育の問題が大きくのしかかってくる 昨今ですら 予算が少ないために 小学校に飲料メーカーがスポンサーになって援助し その結果 子供達に砂糖水を無闇に飲ませることになっている というヤツだ(笑) 教育の場面で20世紀前半の哲学者ジョン・デューイの与えた広範な影響が取り上げられる が 常に背景にはアメリカの民主主義(不思議な平等)と開拓者精神(実用主義)がある そして 二つの世界大戦を挟んで 冷戦構造が「知」の境遇を左右する ニューディールの後に マッカーシーなのだ 原注を含む本文と後書きで438ページ しかも訳者の後書き以外は二段組なので 読みごたえは十分(笑) とにかく 丁寧に正確に書かれた歴史書は古びないというコトが良く分かる 好著
by duchampped
| 2012-08-29 11:19
| 逍遙的読書
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