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さて、今日60歳の還暦を迎えました。それで、前回に続き、黄昏時のお酒に合うジャズというテーマで、いきます。
前回がサックスだったので今回は王道のピアノ。知名度で言えばThelonious Monk(1917-1982)、Bill Evans(1929-1980)、Bud Powell(1924-1966)、Red Garland(1923-1984),Wynton Kelly(1931-1971)といった辺りから取り上げるのが順当かもしれませんが。 ちょっと捻って今回はSonny Clark(1931-1963)を選びました。31歳という若さでヘロインの過剰摂取によって亡くなってしまったピアニストです。リーダー作は10枚ちょっとしか残していないのですが、ハッキリ言ってどれも素晴らしい出来です。 日本では彼の”Cool Struttin’”(1958)というアルバムが60-70年代のジャズ喫茶で異様に人気があったそうです。この鮮烈なジャケットを見たことがある方もいるかもしれませんね。1958年の1月にAlfred LionのプロデュースでBlue Note Recordsからリリースされました。 Sonny Clarkが作曲したタイトル曲”Cool Struttin’”は本国でヒットこそしませんでしたが、その後カヴァーするジャズ・ミュージシャンもいる隠れた人気曲です。ハード・バップっぽい「疾走感」や「熱さ」よりもスローな味わい深いSonny Clarkのピアノが良い味を出しています。 このアルバムでサックスを吹いているJackie McLean(1931-2006)は、ニューヨーク生まれ。8歳で父を亡くしたJackieは近所に住むThelonious Monk、Bud Powell、Charlie Parkerたちに音楽を教えられて育ったというのです。ハイスクール時代にはSonny Rollinsと一緒にバンドを組み、その後Sonny Rollinsと共にMiles Davisのアルバム"Dig"(1951年に録音され、リリースは1956年)に参加します。 Jackie McLeanはCharles Mingusの"直立猿人"(1956)の録音に参加。この時にMal Waldronも一緒だったのですね。歌手Billie Holidayの死まで2年間彼女の伴奏者を努めたMal WaldronがBillie Holidayを偲んだ曲"Left Alone"(1959)でリリカルなサックスを吹いているのもJackie McLean。その独特の音色で知られるプレイヤーです。 Jackie McLeanって、何と言うか「エポック・メイキングな録音に参加している」という印象ですよね。 1986年のマウント・フジ・ジャズ・フェスティバルで来日しステージでこの”Cool Struttin’”を演奏していました。Jackie McLeanはその後も1987年、1996年のマウント・フジ・ジャズ・フェスティバルにも参加しています。 ベースのPaul Chambers(1935-1969)は1955年〜1962年とMiles Davisのベーシストを務めたことでよく知られています。ピッツバーグ生まれ、1954年にニューヨークに来て、Milesのバンドに参加。その面子は御大Miles、John Coltrane(サックス)、Red Garland(ピアノ)、そしてベースがPaul Chambers、ドラムはこのアルマバムにも参加しているPhilly Joe Jonesです。 その後はWynton Kellyのトリオに参加して1965年フリーになりました。John Coltraneとも数多くの録音を残しています。Sonny Clarkともこのアルバムを含む5枚を録音しています。 3曲目の”Sippin’ at Bells”はMiles Davisの曲ですが、ドラマーのPhilly Joe Jones(1923-1985)のドラムで始まります。彼もMiles Davis Quintetの一人として3年間(1955-1958)在籍し10枚のアルバムをレコーディングしています。 脱線しますが、メジャーなColumbia Recordsに移籍するためにMiles DavisはPrestigeにアルバム4枚の契約が残っていたために2日間のセッションでアルバム4枚分を録音したのです。これが有名な「マラソン・セッション」(1956年5月11日、10月26日)。その4枚とはもちろんPrestige Recordsから出された ・"Cookin'(1957年リリース、全曲10月の録音) ・"Relaxin'"(1958年3月リリース、#1-#4が10月録音、#5#6が5月録音) ・"Workin'"(1959年12月リリース、#7以外は5月録音) ・"Steamin'"(1961年5月リリース、#5以外は5月録音) この4枚の聞き所は5月のレコーディングでは頼りない演奏をしていたJohn Coltraneが10月の録音では別人の様に自信たっぷりの吹きっぷりに成長をしていることです。 この4枚でPhilly Joe Jonesはドラムを叩いています。Phillyっていうのはフィラデルフィアという彼の出身地、実はJo Jones(1911ー1985)というスイング時代の偉大なドラマーと区別するために付けたそうです。 というかPhilly Joe Jonesはビ・バップのドラマーとして1940年代後半からジャズの世界に登場しハード・バップを代表するドラマーとしてその後のジャズ・ドラミングに多大な影響を与えた1人です。ハード・バップの名盤と言われるレコードには頻繁に登場します。 この有名な"Cool Struttin’"も良いですがSonny Clarkのピアノをじっくり聴くのならば同じリズム隊(ベースPaul Chambers ドラムPhilly Joe Jones)で録音された”Sonny Clark Trio”(1958/Blue Note Records)もオススメです。レコーディングはVan Gelder Studioにて1957年10月13日。 このアルバムでSonny Clarkは自作曲は演奏していません。アップテンポな1、3。ミディアム・テンポの2、4と若干スローの5。 5の"Softly As In A Morning Sunrise"はスタンダード・ナンバーですが、しっとりと優しいSonny Clarkのピアノが楽しめます。 6の”I’ll remember Aprill”はピアニストで作曲家のGene de Paulの作品、これをSonny Clarkはソロピアノで演奏しています。この演奏には独特の哀愁があって一聴の価値があります。 そしてアタシがSonny Clarkの中で一番好きなのは1958年11月16日と12月7日にやはりVan Gelder Studioで録音された”Blues in The Night”です。超渋いアルバム。酔いがイイ感じで回りそうな、じっくりと深いブルースです。 演奏されている曲目は 1 "Can't We Be Friends?" - 4:20 2 "I Cover the Waterfront" - 4:41 3 "Somebody Loves Me" - 4:17 4 "Blues in the Night" - 5:57 5 "Blues in the Night" [Alternate Take] - 7:15 6 "All of You" - 3:55 7 "Dancing in the Dark" - 3:31 8 "Gee, Baby, Ain't I Good to You" [Alternate Take] - 3:53 2014年にリリースされた日本盤CD (UCCQ-5011)には以下のボーナストラックが入っています。 9 "Ain't No Use" - 4:50 10 "Black Velvet" - 3:23 11 "I'm Just a Lucky So-and-So" - 4:32 12 "Gee, Baby, Ain't I Good to You" - 4:00 13 "The Breeze and I" - 3:09 14 "I Can't Give You Anything But Love" - 3:49 しかし、実はここに少しややっこしい話があります。この二日間に録音された曲は1998年に”Standars”というタイトルでCDとしてリリースされています。アタシはこちらも持っていますが。 内容は14曲。 1"Blues in the Night"- 5:54 2"Can't We Be Friends?"- 4:20 3"Somebody Loves Me" - 4:18 4"All of You"- 3:54 5"Dancing in the Dark" - 3:31 6"I Cover the Waterfront" - 4:41 7"Blues in the Night" [Alternate Take] - 7:15 8"Gee, Baby, Ain't I Good to You" - 4:01 9"Ain't No Use" - 4:49 10"I Can't Give You Anything But Love" - 3:52 11"Black Velvet" - 3:23 12"I'm Just a Lucky So-and-So - 4:33 13"The Breeze and I" - 4:00 14"Gee Baby, Ain't I Good to You" [Alternate Take] - 3:49 Recorded on November 16 (#8-14) and December 7 (#1-7), 1958. 12月7日に録音された曲(1-7)はPaul Chambersがベースで、Wes Landersという人がドラムを叩いています。正直言ってヨク知らない人ですが、良いんですこの人のブラシ・ワークが。超ブルージー。 実はこれが”Blues in The Night ”として1979年に日本でリリースされたものです。ところが2014年に発売された日本盤”Blues in The Night ”には11月16日に録音された#8-#14が全てボーナストラックで収録されちゃったのですよ。つまり1998年の”Standars”とは曲順が異なるだけなのです。 11月16日のレコーディング#8-#14ではドラムは同じWes LandersでベーシストがJymie Merritt(1926-)。このベーシストもアタシはよく知らないのですがとても素晴らしい。独特のグルーブがあって、Sonny Clarkはむしろ彼のベースの時に一番スイングしている感じです。このうち#8-#13が”The Art of Trio”というアルバムとして1980年にやはり日本国内でのみ発売されました。CDのトラック#4-#9です。 1"Tadd's Delight" [Alternate Take] - 5:01 2"Two Bass Hit" [Alternate Take] - 4:01 3"I Didn't Know What Time It Was" [Alternate Take] - 4:25 4"Ain't No Use" - 4:49 5"Black Velvet" - 3:23 6"I'm Just a Lucky So-and-So - 4:33 7"Gee, Baby, Ain't I Good to You" - 4:01 8"The Breeze and I" - 4:00 9"I Can't Give You Anything But Love" - 3:52 この”The Art of Trio”のトラック#1-#3は1957年10月13日にベースがPaul Chambers、ドラムスがPhilly Joe Jonesというトリオで吹き込まれたものです。 でもこの10月13日の録音からは既に紹介した”Sonny Clark Trio”というアルバムが作られました。つまりその時の使われなかったアウト・テイクが再利用された形です。 そーいう意味でアルバムとしての統一感は” Blues in The Night”が一番です。(というか"Standards"も一緒なのですが・・・)結局3枚とも持っているのはとても無駄な気もします。 しかしこの3枚はどれも好きです。Sonny Clarkという夭折した、どちらかと言えば地味なピアニストの最良の演奏がここにあります。 これからCDを聴いてみようという場合、まず2014年の日本盤” Blues in The Night”を入手するのが一番ですね。 もちろん、お酒に超合います。 何と言うのか、とても心が静に慰められるピアノです。
by duchampped
| 2016-03-14 16:39
| straight jazz
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