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※写真をクリックするとAmazonに飛んでそのまま購入できます。 一度だけニューヨークのジャズ・クラブ”バードランド”で演奏を聴きながら飲んだことがある。ちょうどこの文庫が刊行された頃のことなので随分昔の話だ。その時演奏していたミュージシャンの名前は忘れてしまったがなかなかイケてる白人のアルト・サックスだった。 その頃にこの本を斜め読みしたが、最近50年代のstraight aheadなジャズをしきりに聴いているので、改めてちゃんと読んでみた次第。 残念ながら著者ビル・クロウがベースを演奏しているCDはあまり持っていない。村上春樹さんが解説を書いたというClaude Williamson Trioの”Autumn In New York”(1995) と"Bill Crow Quartet"の"from Birdland to Broadway" くらいかな。 クロウ氏が長く一緒に演奏したバリトン・サックスのGerry MulliganのCDにまでコレクションがカバーできていないのだ。現在手元にある1300枚の50〜60年代のモダン・ジャズを聴き込むだけで目一杯な状態。 しかし、著者の驚異的な記憶力、というか詳細な日記かメモを残していなければとても書けない様な内容だ。つまり書かれている事実の真偽を確かめる事はとても困難だが実に綿密なバンドのメンバーの変遷、音楽の傾向、演奏内容などの記録が並んでいる。 正直言って、言及されるジャズ・ミュージックの大半は演奏を聴いたこともない人たちだし、名前を知らなかったプレイヤーも多い。しかしクロウ氏の書いた文章(とハルキさんの訳文)は、アタシの様なジャズ初心者で音楽理論に暗い人間にも楽しんで読める様なものであり、丁寧で分かり易い。偶に知っているミュージシャンのエピソードや聴いたことのある演奏が出てくるとついついCDを探してしまう。 何度もクロウ氏が言及している"Birdland"名物のマネージャー、Pee Wee Marquetteのステージ・MCを聴くことが出来るCDがある。クラシック界の大物ピアニストFriedrich Guldaが実はジャズが大好きで1956年に当の"Birdland"でライブを録音している。彼のモーツァルトは何枚も持っているけど、このCDでのジャズ・ピアノも悪くない。何を言っているのか聞き取りにくいPee Wee氏のアナウンスも聞き物。 いずれにしても、大部562ページもある文庫だ。そのうち80ページは巻末に訳者の村上春樹さんが記した”私的レコード・ガイド”でこれがまたとんでもなく凄い。言及されているほとんどのアナログ盤を聴いたことがないのが残念なのだが、ハルキさんは自分のジャズ・レコードのコレクションをベースに記述しているのだから溜息がでる。並のジャズ評論家など寄せ付けない。 いずれにしてもビル・クロウ氏と村上春樹氏によるこの”レコード”はジャズ・ミュージックに興味のない人が読んでも楽しめる程にドラマティックだし、クロウ氏と仲の良かったミュージシャンたちの何とも魅力的な人間が上品に描写されていてジャズ・ミュージックが聴いてみたくなる。とても良い書物だと思う。 と言ふ理由で、今でもアタシはちょっと安っぽいプラスティックのバードランド・キーホルダーを愛用している。
by duchampped
| 2016-04-03 12:19
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