吉川弘文館の〈テーマ別〉通史シリーズである
既に知人の書評に惹かれて『日本葬制史』を読んでいる
実はその時に感じたコトと重複するのだが
確かに真面目に ヨク調べて書いてはある
しかし 原始・古代から現在まで 日本人が何をどの様に食べてきたのか をわずか360ページ弱に凝縮して記述するのは そもそも無理がある
しかも 『日本葬制史』の時にも感じたように 文字によって記録されることの少ない庶民の生活こそが 知りたいのである
つまり 江戸時代以前のふつーの日本人の食文化がほとんど分からないのだ
明治維新後は比較的記録が残っているとは言え 栄養学的な見地からの調査記録が多く 実際に曾祖父たちの日常の献立は詳らかではない
昭和の戦前戦中戦後の部分は 他の歴史や記録で その飢餓の凄まじさを知ってはいた
何しろ 資料によって異なるが 日本陸軍戦死者の7割が広義の餓死と言われている
銃後よりも優先して食料が調達されたはずの軍人がこの状態なのだから 国内の庶民が飢餓に苦しんだのは想像に難くない
戦後 高度成長で飽食の時代が訪れた
今や 日本人は食べ物の多くの部分を廃棄する暮らしをしている
その辺りのコトを割に細かく書いてもらえたら良かったと思う
しかし 日本食とは何か という大きなテーマに対する答えは なかった(笑)