|
カテゴリ
以前の記事
2025年 09月 2024年 11月 2021年 01月 2020年 05月 2017年 04月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 2014年 03月 2014年 02月 2014年 01月 2013年 10月 2013年 08月 2013年 07月 2013年 04月 2013年 03月 2013年 02月 2013年 01月 2012年 12月 2012年 11月 2012年 10月 2012年 09月 2012年 08月 2012年 07月 2012年 06月 2012年 04月 2012年 01月 2011年 12月 2010年 12月 2010年 10月 2010年 07月 2010年 05月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 04月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 11月 2008年 08月 2008年 04月 2008年 03月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 04月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 フォロー中のブログ
検索
タグ
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
![]() 今回の油やでのパフォーマンスは結果的にギャラリー・トークの様な形態になりました。まずは、パフォーマーであるアタシ自身がフィジカルな表現に全く不慣れであるということがあります。一方で塾の講師やプレゼンテーションを散々やってきたという経験から人に何かを説明し訴求するということにはあまり抵抗がありません。そこで今回はこの様な顛末になりました。 さらにシェイクスピアやマクベスという固有名は知ってはいても内容や歴史的な背景までは深く知らないというお客さんを想定して、必要以上に専門的にならないように気をつけました。 以下、その梗概を記しておきます。 まず、何故「手を洗う」というタイトルなのか? マクベス夫人が罪業のシンボルである幻の血痕を執拗に洗い落とそうとするからなのです。 これが展示のテーマである「赤」と通底しているのです。 日本人は「足を洗う」ことで罪業からの離脱を宣言しますが、「手を洗う」ことにはキリスト教的な背景があります。 エルサレムに上ったナザレのイエスがユダヤ人ファリサイ派に捕まりローマのユダヤ属州総督であるポンティウス・ピラトゥスに引き渡されます。新約聖書マタイ福音書では 「この者の血には、私は責任がない。お前たちが勝手に始末せよ。」 と言ってポンティウス・ピラトゥスは手を洗うのです。実はこの動作は旧約聖書の申命記や詩篇に「身の潔白を証明する手段」として記述されているのです。つまりマクベス夫人の手に付いた血痕は洗い落とされることがあり得ないのです。 スペインの無敵艦隊を破った処女王エリザベスの治世は黄金時代と言われ、正にシェイクスピアが活躍した時代でした。しかしエリザベス1世が亡くなりチューダー朝は跡絶えます。 そこにスコットランド王のジェームズ6世が新たにイングランド王ジェームズ1世として戴冠します。1603年の事です。 ![]() シェイクスピアがこのマクベスを書いたのは1606年頃と言われています。 マクベスはジェームズ1世の宮廷で演じられた台本が今に伝わっているのではないかと言われているのです。 まずシェイクスピアの芝居で魔女が登場するのはマクベスだけです。(たぶん・・・全作品を読んではいないので・・・)このジェームズ1世はスコットランド王時代に魔女を100人以上逮捕し拷問し殺害しています。どうもこの王様は魔女が嫌いなのですな。 マクベスという芝居の中で魔女はマクベスの深層心理(悪)を現すものとして登場しているかの様です。 一方で、実はマクベス自体がジェームズ1世にとっては仇なのです。つまり、いくら悪し様に描いても全く問題がないのです。ジェームズ1世は、マクベスが予言に怯えて殺した同僚のバンクォーの子孫だと言われているのですから。 マクベスが魔女達に再び会いに行き予言を訊く場面があります。そこでバンクォーの亡霊には8人の王達が連なっています。その8人目がジェームズ1世だと言うのです。 さらに、マクベスに殺されたダンカン王の長子マルカムが逃れたイングランド宮廷で王の不思議な力、瘰癧と言われる治癒不能の病人に王が触ることで病が癒える「ロイヤル・タッチ」が唐突に登場します。 この「ロイヤル・タッチ」には王の権威と正当性を証しする効用があった様です。もちろん、これは治癒神イエスが福音書で多くの患者達を触れるコトによって治したという伝説に依っているのでしょう。ジェームズ1世の孫、チャールズ2世は年間4000人の病者に触れたそうです。 さらにこの話にも繋がりますが、ジェームズ1世は王権神授説を自ら論文を書いて主張した王様でした。その文脈で、マクベスは「悪い専制君主のサンプル」として描かれているという説もあるのです。 こーいう話の間にマクベスという芝居のあらすじを混ぜ込んで伝えました。 ![]() しかし、マクベスは実在したスコットランドの王でした。確かに従兄弟のダンカン王を弑逆して王位を奪っています。しかし、統治能力が高く、10世紀末にしては長い17年間の治世を得ています。王妃に唆されるというのは別のエピソードからシェイクスピアが採ってきたものの様です。 また、エリザベス1世の父親はお后を6人も娶ったので有名なヘンリー8世です。その長女メアリーはエリザベスの前の女王でしたが、スペイン王の娘が生んでいますから、ガチガチのカトリック信者でした。メアリーはイングランドをカトリック国に復帰させます。 しかしヘンリー8世の作った英国国教会はトップが王様という以外はカトリックに近似していますからさしたる問題はなかったのです。むしろドイツ・スイスからフランスを経て伝わったプロテスタントをメアリーは徹底的に弾圧します。彼女が「ブラッディー・メアリー」と呼ばれた所以です。トマト・ジュースにウォッカを垂らしたアレですね。 ジェームズ1世は英国国教会の敬虔な信徒でした。宗教改革の影響もあって、この王様の命令で聖書が英語に訳されます。これが「欽定訳聖書」と呼ばれるものになったのです。 ここまでを分かり易く丁寧に話すと、早口なアタシでも30分以上かかってしまいます。 本来はこの後、大正3年に坪内逍遙が訳したマクベスの重要な科白を朗読して、当時勃興し始めた大正デモクラシーとの関係に話を進めたかったのですが、お聞きになっている観客の興味がこれ以上は持続できない様なのです。 これは話者であるアタシの芸不足に尽きるワケですが。(笑) これってなかなか楽しくって、ちょっとクセになりそうです。
by duchampped
| 2014-07-23 02:08
| ||||||
ファン申請 |
||