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![]() 尖閣諸島の国有化の際に巷間中国サイドに立つと批判され更迭された中国特命全権大使で元伊藤忠会長の丹羽氏の著書。ちなみに彼を中国大使にしたのは民主党菅直人総理だった。 尖閣諸島の件は、歴史的経緯など当事国の主張に懸隔があり、事実関係の検証が第一義だ。その緒にも就かないまま為政者達は無意味な罵倒を応酬している。 むしろ、中国問題よりも食糧事情と日本の農業について述べられた第3章以降が、ごく当たり前の主張だが、傾聴に値する。 「農協」は本来は「日本の農家と農業」の為にある。 しかし、現状は「農林省」と「農協」の「利益と存続」の為の「農業政策」があるだけだ。 本末転倒もいいところ。それを丹羽氏は分かり易く平易に書いている。 この農政は、戦前の日本軍が「日本国は滅びても、国体天皇と軍隊さえ在ればOK」という長期的戦略の無い場当たり的な戦争指導をしたことに通底する。 日本軍と戦後の省庁は極めて同質的な官僚体質を持っているのだ。国益よりも省益を優先するという体質。 そして自民党という権益誘導型の衆愚政党が民主主義という名目で「農林省」「農協」の権益を保護する見返りに貧相な上前を掠め取る。自民党の大半が官僚上がりの権益屋商人なのだ。アベ某などはその使い走りに過ぎない。 毎年100万単位で日本の人口は減少してゆく時代なのだ。 人口が凄まじい勢いで減少してゆく時代にアベ某の言う右肩上がりの成長戦略など全くの虚妄でしかない。我々の子や孫の世代に重篤な負担を強いる事になるのは明白だ。 もしもアベノミクスの内実が、円安による名目上の成鳥をもって成鳥だとする理屈に支えられているとしたら、それは日本の国力を弱め、国民を惑わすものでしかありません。(中略)日本の力をどれだけ強めるかを真剣に考えるべきときに、貨幣価値のアップダウンで成長した、しないというのは邪道も邪道。それは円安になったパーセンテージだけ成鳥の数値が増えるということに過ぎません。 p.143-144 だからこそ、アベノミクスは「自分たち=限られた富裕層」を守る場所を高い格差壁の内側に作り、その負担を「法的に付与された権益」によって免れようと画策している。ツケは奴隷達、大多数の貧しい国民とその子孫が背負っていけば良いのだ。 「美しい日本」とは、彼等富裕層が楽しむスタイルのことを言っていると思えば分かり易い。 しかし、その負担を強いられる国民自身がアベ某の舌先に騙されて清き一票を投じるのだ。全くアタシには理解出来ない。 原発についても面白い視点で書かれている。単純に電力会社だけの原子力発電設備の減価償却費残額が2012年3月末時点で 北海道電力 2818億7000万円 東北電力 3623億3300万円 北陸電力 2268億2700万円 東京電力 7297億9600万円 中部電力 2470億1200万円 関西電力 3666億5900万円 四国電力 1065億1400万円 九州電力 2445億3300万円 9社合計 2兆6424億8300万円 つまりこれだけの償却残を電気代金として国民から徴収するまでは原発は止められないというワケだ。しかもこれらには使用済み核燃料の膨大な処理コストも、将来的な廃炉にかかる天文学的コストも含まれてはいない。つまり、これら全てが、この金額に上乗せされて国民の負担となる。 この天文学的な金額を何故我々が負担しなければならないのか。民意を問われたことなど無いのだ。そして一部の為政者、官僚がぬくぬくと肥え太る。 さらに日本原電などのコストはここに含まれていない。つまり、官僚達が甘い汁を吸うためのに星の数程も捏造された天下り法人の運営コストは含まれていないのだ。 彼等には国益、ましてや国民の利益など、端っから眼中には無い。ハイホー。 著者の指摘では、日本の製造業、労働の質の劣化も深刻だ。グローバリズムをコストだけで闘うことは日本国民の多くを占める労働者を幸福にはしない。 しかし、現政権は「非正規雇用の熟練とは無縁の使い捨て労働者」を増やすことに躍起だ。日本人を中国の労働者よりも安い賃金で働かせることが企業の理想だからだ。著者は、日本企業の多くがこの方向に向かう限りやがては淘汰圧で自滅するだろうと指摘している。日本の製造業に優位性をもたらすのは熟練という人間的資産だけなのだ。日本ブランドは労働者の高いモラルのことなのだ。 過日読んだインバウンドに関する書物にもあったが、日本の魅力は何と云っても信用の高い製品・生産物の質にあるのだ。 それ故に、教育の重要性も取り上げられる。能力を伴わない無根許な自信を振り回し、粗暴で想像力のない若者達が、肌理の細かい労務に向いているとは、誰も思わないからだ。通勤電車で足を投げ出し、虚ろな顔でゲームに熱中している姿は「奴隷の幸福」にしか見えない。御同慶の至り。 アベ某の云う教育とは「教員に君が代を歌わせること」と「日の丸に起立させること」であって、教育内容の質とは全く関係がない。分数の計算も出来ない、英文法の基礎も分からない学士(大学卒業者)を大量に排出することと高等教育の充実は全く関係ない。専門知識の御粗末な大学院生を見る度にウンザリする。 著者には大赤字の伊藤忠商事を黒字転換させた実績がある。勿論、時の運というのが大きな要素だろう。しかし、経営者としての先見性や努力の結果でもあるから強固な自信を以て様々な提言をしている。全てが正しいとは思わないが、丹羽氏の描く日本経済のグランドデザインは場当たり的なアベノミクスよりは遥かにマトモだ。 中国の隣国であることは止められない。日本も中国も引っ越せない。 これが著者の考えの基本にある。表面的な好悪だけではなく、日本という国の行く末を左右する国として隣国中国を考えるにはコンパクトで良い参考書だ。オススメする。 読んだ上で、自分の脳みそで考えるしかない。
by duchampped
| 2014-12-07 12:31
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