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著者は偶然だがアタシと同じ年齢の西洋美術史家。書架には彼女の著作『描かれた身体』(青土社)『屍体狩り』(白水社Uブックス)などがあるが読了していない。この本は1994年に刊行されていて20年以上経っているが、内容的には古くなっていない。 「ダンス・マカブル=死の舞踏」の画像を中心にヨーロッパの美術館、教会、修道院を訪れたエッセイだ。美術史的な記述は歴史を背景に分かり易いし見事だ。しかし文体が聊か修飾過多というのか、ブンガク的な修辞の羅列で鼻につかないでもない。 内容が内容だけに枯淡な文章で書かれた部分の方が胸に届くのだ。 14世紀に猛威をふるったペスト(黒死病)でヨーロッパ人口の30〜60%が死んだと言われる。人々は「メメント・モリ=死を思え」を眼に見える形にして教会や修道院を飾ったのである。 そして例の如く「ユダヤ人」の陰謀とされ、多くのユダヤ人が殺戮された。キリスト教徒はユダヤ教を近親憎悪しているからね。 当時、権勢の頂点を過ぎたヴァチカン、絶対王政に向かうフランス王に因って教皇庁がアヴィニョンに移される(1309ー1377)など混乱を極めていた。さらにヴァチカンに戻った教皇庁に対しアヴィニョンにも教皇が起ちシスマ(大分裂)状態に陥った。シスマが解消されるのは1417年なのだ。カトリック聖職者の堕落は凄まじい状態であり、結果的に宗教改革を準備することになった。 その上にペストの大流行である。庶民は路上で何の治療も行われないままに死んでいった。王侯貴族も聖職者も為す術なく死んで逝った。その背景に『ダンス・マカブル』が戯画の様に飾られたのだ。 著者は王侯貴族の石棺を飾った彫像をも丹念に見て行く。彼等が死を受容するスタイルがそこに明らかなのだ。 そもそも「自己の死を恐れたパウロ」に神学の基礎を置くキリスト教信仰は「死を安んじる」ものだ。キリストの再臨によって正しき信者は死から起こされ永遠の世界を享受する。死は仮のものなのだ。 しかし、キリストの再臨はパウロ以降1000年以上訪れていない。その上カトリック教会の拝金主義腐敗堕落は庶民の眼からも明らかだった。十字軍という宗教的ヒステリーが起きるが、いずれにしてもキリスト教に慰撫されて平安の裡に死ぬことが困難な時代だった。 しかも、選択肢はない。 著者のテーマは死生観だと書いている。しかも彼女が追っているのは神が死んでしまった現代人と異なり、神が絶対だった時代の死生観なのだ。上記の様に選択肢がない状態での。 テーマからして、読んでいて決して楽しいエッセイでは無い。しかし、所詮、歴史とは死者たちと対峙することなのだ。美術は死者たちの残像だ。 このことが著者の眼で丁寧に描かれる街の空気と共に美しく列べられている。 知的な教会巡りの旅である。
by duchampped
| 2015-05-06 02:04
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