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![]() アタシは犬が好きだ。 カート・ヴォネガット(1922ー2007)が『スラプスティックあるいはもう孤独じゃない』(1976)で書いていたことだが、彼は人間に対する愛情と犬に対する愛情が区別できない。 ハイホー。 そう言えば柴田元幸さんがこの作品を読んで卒論をヴォネガットにしたということを書いていた。 この『狼の群れと暮らした男』の名前はショーン・エリスという。1964年生まれというから俳優の阿部寛や薬師丸ひろ子と同じ歳だ。 この本のことを知ったのは教授のレビュー及び柄谷行人の柳田國男論(『遊動論 柳田國男と山人』文春新書)だ。 オオカミと暮らす? 意味が分からない。(笑) 第1章ー第3章は、ショーン・エリスがイングランド、ノーフォーク州でシングルマザーの一人っ子として生まれ母方の祖父母に育てられた時代を回想する。この幼少年時代が強烈だ。夜、窓の下にオオカミがいた、とかキツネの家族と遊んだなどというエピソードは都会で育ったアタシには想像も出来ない。しかしイングランドではオオカミは15世紀に絶滅したとみられているからショーン少年が見たのは幻だったのか。 アタシはロンドンに短期間滞在したことしかないが、イングランドというのはなかなかフトコロが深い。ちなみに遥かに小さい亜種である日本オオカミもおそらく絶滅している。 そしてショーンは人間よりも動物が好きな人間となる。 第4章ー5章は、英国軍に入隊し準特殊部隊員としてハードな訓練に耐えたことで彼が鍛えられたことを描く。 しかし、彼はエリートの特殊部隊員のテストには合格できなかった。そしてショーンは軍隊に勤務しながらダートムア野生動物パークで狼の世話という「天職」に巡り会う。ここで彼は飼育されているとは言え家畜では無い狼の囲いに入り昼夜を過ごす。ここでショーンは狼の群れの構造と習性を少しずつ学ぶ。これが6-7章の内容。 第8-9章。いよいよショーンは英国軍を辞しアメリカに旅立つ。全財産を換金し飛行機のチケットを買った彼は、アイダホ州で「オオカミ教育研究センター」を運営するネイティヴインディアンのレビ・ホルトに会いに行く。 「オオカミ教育研究センター」は広大な柵に囲まれた土地でオオカミを飼い、野生のオオカミをロッキー山脈に再導入するというプログラムを運営していた。その場所でショーンは無給でオオカミの世話をすることを許される。しかし有り金をはたいてアイダホに来た彼には20分雪道を歩いて数セントで買えるジェリービーンズしか食べるモノがなかった。 そのことに気付いたレビは食料品店の料金を払ってくれることになり9ヶ月を過ごす。この柵の中のオオカミの群れともショーンは家族になった。 一旦英国に戻ったショーンは再びダートムア野生動物パークでオオカミの世話をして資金を貯める。そして再び彼はアイダホの「オオカミ教育研究センター」を訪れる。10章だ。 11章、ここからがクライマックス。 ロッキー山脈でたった独りで2年間に渡り火を使った食事をせず野生の狼と暮らすという信じ難いことを行うのだ。捕獲したウサギの生肉を食べて飢えを凌iいだのである。おそらく特殊部隊で常人離れした能力を培われたのだと思うが、それだけでは無い、技術的な事、メンタルな面は確かに訓練の賜物かもしれない。しかし、野生のオオカミの仲間になるという希望が彼をしてその人間的欲求を驚異的にコントロールしたのだ。オオカミの群れに迎え入れられてからもオオカミのくれる生肉を食べて彼は生きた。このクライマックスは15章までだ。 16章以降は彼が英国に帰り様々な場所でオオカミを可能な限り野生に近い状態で保護飼育することが語られる。後半のクライマックスは「オオカミ教育研究センター」のオオカミたちが子供を産みそれを彼が母親代わりに育てる部分だろう。(22ー28章) その後は彼の人間のパートナー、ヘレンのこと、彼とオオカミの生活を支える手段となるテレビメディアの撮影のことなどが語られる。 冒頭で言った様にアタシは犬が好きだ。 しかし、犬という生き物のことを本当に理解していたとは到底言い難い。いずれ大きな犬と暮らしたいと思っているのだが、犬を飼いたいと考えている人、あるいは既に飼っている人には是非16章と24章をじっくりと読んで欲しい。 犬はオオカミから派生し人間の手で人工的に作られた生物だ。今でもオオカミとある種のイヌが交配可能であるということがそのことを証ししている。 まぁ、言ってみれば存在するか否かハッキリ分からない野生オオカミの群れを求めてロッキー山脈に入り込むのは無謀だと思うが、更に野生の群れを見つけその仲間になって一定期間暮らすというのは完全に常軌を逸している。 しかし、この冒険はショーン・エリスにしか出来なかっただろうし他人が真似られることでもない。従って、この記録は極めて貴重なオオカミと人間のコミュニケーションを描いている唯一のものなのだ。 十代の頃に読んだら人生が変わっちゃうかもしれない。
by duchampped
| 2014-06-06 02:07
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