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と言ふ理由で 『アレントのパーリアとしてのユダヤ人』を読んだ
正直 アレントは『全体主義の起源』は高くて買えないし『人間の条件』はちくま学芸文庫なので 買えないこともないが読んでいない つまり マトモに読むのは初めてなのである この本は ユダヤ人であるハンナ・アレントがナチに追われて故国のドイツを離れ パリでユダヤ人子弟をパレスチナに送り込む仕事をした後 アメリカに1941年に渡った後の文章を幾つか集めた編集本である ほとんどが当初英語で発表されている 第一章は 我ら亡命者 アレント自身が 自らの振る舞いや在り方 思想や行動によって亡命したのではなく 「ユダヤ人である」という何とも理解の難しい理由でアメリカに亡命したのであり 元ドイツ人はソノ当時「敵国の人間」であるのだから 彼女の愛国心は ナチでは無いドイツに向けて しかし 曖昧な郷愁を述べるのである ところで パーリア(pariah)とはカースト制の最下層である不可触賤民のことである 不可触賤民としてのユダヤ人 というよりは 被差別民としてのユダヤ人ということだと思う 確かに ヨーロッパ(ロシアを含む)で何か変事が起こる度に ユダヤ人がその原因としてターゲットにされ ポグロム(ユダヤ人への集団迫害行為)が繰り返し行われてきたことは歴史に残っている イヤになるほど何度も何度も キリスト教徒に殺されるユダヤ人 ちなみに ホロコーストは 燔祭 つまりユダヤ教徒が神前で獣を丸焼きにする供犠のことである 1970年代後半のアメリカのテレビ番組の影響でナチのユダヤ人虐殺を指す様になったそうだ 第二章 隠された伝統 では ハインリッヒ・ハイネが取り上げられている その作品の陽気で無頓着な様を 社会の階級制度の外に身をおき世の中に無関心であるというパーリアの特性として述べている 第三章のフランツ・カフカの分析がオモシロイ というか新鮮だった カフカは どこにも帰属しないユダヤ人である自分が 奇妙で曖昧なオーストリア・ハンガリー帝国の官僚制の末端に生息する半分官吏(朝8時から14時まで昼飯抜きで働くハプスブルグ官僚の「単一勤務」者)でありながら その不条理な世界にもとめるモノを故郷のチェコ語ではなくドイツ語で描いた というコトだと思うのだが 彼が創造した物語は実に奇妙だし 繰り返された婚約とその破棄など私生活もとても奇妙なモノなのだ 第四章では ウィーン文化の体現者であるシュテファン・ツヴァイク博士と ナチによって奪われていく彼等上流ユダヤ人の成功圏を描いている そして 第五章 シオニズム再考 は文字通りシオニズムの歴史と二度の世界大戦との関係 むしろ 第六章の 帝国主義について が このヨーロッパ社会の在り方とシオニズムの関係を理解するには必要かもしれない 最後の 第七章は ナチが行ったユダヤ人虐殺を 実際に担当した個々のドイツ人をどの様に捉えるか論考した文章で 組織化された罪 というのは そー言う意味である ヒムラーという凡庸な官吏がナチという官僚組織のナンバー2に登り詰めた背景である ところで ユダヤ人とは 何か というのが 実は 我々日本人には ひじょうに分かり難い 旧約聖書を読んで判るものではないし かといって 読まなきゃ皆目分からない(笑) キリスト教ヨーロッパ社会の被差別民であることはある意味で確かなのであるが むしろ ユダヤ人自身が選民思想という 逆差別を行ってきた長い歴史の結果であることもまた確かだ 神に選ばれた宗教民族であるが故に 妥協もなく 他民族とは異なる(ある意味奇矯な)風習を固守し ヨーロッパ社会では歴史的に土地所有とギルドから排除されていた為 農業は出来ず 職人にもなれない ソコで彼等はキリスト教徒に禁じられていた高利貸しになり ディアスポラ故のネットワークを活かしロスチャイルド家の様な富豪になるものもいる また 学問と芸術にも能力を発揮し ご存じの様に 世界人口の0.2%に過ぎない彼等が ノーベル賞の20%をとっている そして マーラー ガーシュイン シェーンベルク バーンスタイン スティーヴ・ライヒ と著名な音楽家も多い しかし 偶像崇拝が禁じられているためか 造形芸術方面はシャガールくらいしかいないかな とにかく民族として 無闇に才能がある人を輩出しているワケで アインシュタインもそうだしウィトゲンシュタインもそうだ 彼等がいなければ 世界は違っていた というくらいの影響力があった とにかく 自分たちは被差別民族であるとアレントは主張したのである アタシ個の印象としては 上下の高低差を伴った差別ではなく むしろ 位相の違う差別である様な気がする アタシがポグロムの実態を活字でしか知らないからかもしれないし 実際に成功したユダヤ人の多くを知っているからかもしれない その上 キリスト教徒ではないから イエスを殺したユダヤ人という呪詛もないし ナチが好きなワケがない(笑) というか 暴力というモノを忌避するので スペイン・カトリック教徒の実施した南米原住民の大量虐殺(たぶんナチが殺したユダヤ人の数倍規模で しかも半分遊戯的に殺した)も 受容する気にはなれない 閑話休題 いずれにしても 70年前に書かれた ユダヤ人知識人の現場の声なのだが 第一章と第七章を除き アレントは静かに怜悧なのだ
by duchampped
| 2013-02-15 11:29
| 逍遙的読書
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