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![]() 月曜日は最悪だと みんなは言うけれど 火曜日だって負けずにひどい というのは、この本に出てくるトム・ジョーンズという作家の作品に引用されている有名なブルース曲「Stormy Monday」の歌詞なのだけど、今、パッと思い出せるのは「The Allman Brothers Band」の『Live at Fillmore East』に収録されている「Stormy Monday」だ。で、CDをごそごそ取り出したら、まあ、歌詞なんざ書いてないね、輸入盤だしさ。 Greg Allmanの強烈に訛った(その上ラリった?)歌はとてもディクテーション出来るシロモノじゃないので諦めた。曲の冒頭が先ほどの言葉。 They call it stormy Monday,but, Tuesday's just as bad. 40年も昔のアルバム聞きながら。やっぱDuaneのスライドはカッコ良いなあ、などと思いつつ。彼等の残したアルバムでは、これが一番好きだ。 で、この本は、村上春樹さんがアメリカの雑誌から長年クリッピングしてきた記事を選んで訳出してあるのだけれど。 リチャード・フォードという作家(知らないよー)が親友のレイモンド・カーヴァーを追悼した文章はある種人の心を打つ強さと暖かさに満ちたものだし。 ティム・オブライエンのエッセイ「私の中のヴェトナム」もまた美しさと荒涼、悲惨と怜悧の両極を往復していて、ひじょうに生な感触がある。 収録されている同じティム・オブライエンの短編「ノガレス」と「ルーン・ポイント」も哀しい欲望と日常の光景を描いていて、救いが無い。 しかし、驚いたのはトム・ジョーンズ(Thom Jones)という人(勿論知らなかった、しかし、春樹さんも書いてるよーに、“果たして本名なのだろうか?”)の「私は・・・天才だぜ!」というエッセイ。 エッセイの内容は、単純に彼が作家になるまでの履歴のよーなものなのだけど。 地理の教科書に出ていた写真をぱらぱら見ていると、世界各地の辺鄙な地域には、あっというまに大人の世界に組み込まれる「野生の」子供たちがいることがわかった。彼らは学校なんかには行かず、カイバル峠の近くで山羊を追い、ビルマの水田で太陽に焼かれ、蚊に刺されながら黙々と働き、南方の熱帯ではカッサヴァをすりつぶし、あるいは北方の極地では、きんたまが凍らんばかりの厳寒の中であざらしの革から長靴を作っている。そんな子供たちはみんなものすごく幸福そうに見えた。彼らはにっこりと微笑んでいた。どれもこれも裏のないまっとうな笑顔だった。 「俺っちはさ、この仕事を得るために七百回も尺八かまさなくちゃならなかったんだぜ。北極点にあるちんぽをぜーんぶべろべろしゃぶらなくちゃならなかった。でもお陰でなんとかこうして暮らしているよ、ブラザー。どうだい・・・これって悪くないだろ」、 なんてことを匂わせる微笑みではぜんぜんなかった。君の笑顔から察するにだな、それってすげえかっこいいじゃん、ナヌーク。 同書、p.232-233 ナヌーク?NanookちゅうのならFrank Zappa先生の“Nanook rubs it”という歌に出てくるなあ。こんな歌詞。ほとんどピリオドのねえ歌詞だから厄介なんだけどさ・・・ An ancient Eskimo legend Wherein it is written On whatever it is that they write it on up there That it anything bad ever happens to your eyes As a result of some sort of conflict With anyone named NANOOK the only way you can get it fixed up Is to go trudgin' across the tundra... 誰か堪能な方、訳してくだせえ。おねげえしますだっちゃ。但し、zappa先生は「ナノック」と御発声されておられます。 ワタシは今、Zappa先生のこの曲の入ったアルバム『apostrophe(')』を20bit master/24k gold CDで聴いておるのよ。ひょひょ。 で、このジョーンズ先生は、ぶっ飛んでまっせ。広告代理店の売れっ子コピーライターでジャガー乗り回しておられたのですが、 「仕事そのもはつまらなくてさ、会社を辞めて、今度は学校の用務員になった、そいでもって用務員を5年やってな、そのあいだにばんばん本を読んだ。そしてこれくらいなら俺にも書けるぞ、と思った。用務員の仕事もけっこうしんどいから、そろそろ広告業に復帰しようかと思ったんだが、入れてくれないんだ。広告代理店を辞めて学校の用務員になるようなやつはアタマに問題あるってさ、戻らせてくれないわけよ。それでしょうがないからせっせと小説を書いて雑誌に送ったら、『ニューヨーカー』が採用してくれたんだ。それでこのとおり作家になった。しょっぱなから『ニューヨーカー』だぜ。うん、ぶっとんじゃうよな。」(同書、p.227) ってな感じ。 別のところでジョーンズ先生。 しかし、小説家というのは往々にして、氷河が進む程度の速度でしか成熟しないものである。私はその中でもとりわけ遅い方だ。ときどきスタニスラフスキーの意見に賛成したくなる。彼は言った、「語るべき物語を持たない人々くらい、幸福な人々はいない」同書、p.246-247 ところで、コンスタンチン・スタニスラフスキー? スタニスラフスキー・システム? ソヴィエト連邦公認の演劇理論が何ででてくるんだ? つか オーディナリー・ピープルには物語なんてない。紙芝居みたいなテレビ・ドラマを熱心に観ても薄っぺらな自分が寒々しいだけだろ。 エニウェイ。村上春樹さんは面白いね。 ちなみにトム・ジョーンズ先生の『拳闘士の休息』(岸本佐和子訳 新潮社)は買った。けどまだ未読。
by duchampped
| 2010-10-10 11:39
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